未経験から始まったSaaS Harborの立ち上げで、コミュニティマネージャーとして学んだこと
SaaSコミュニティの立ち上げが決まり、私のコミュニティマネージャーとしての歩みが始まりました。
とはいえ、最初は「コミュニティってそもそも何?」「何をすればいいの?」という状態。まずは『ファンベース』などの書籍を読み、コミュニティのあり方を学ぶところからのスタートでした。ワクワクした一方で、不安な気持ちもありました。
SaaS Harborは、B2B SaaSに携わる人たちが、顧客への価値提供や業界の知見について学び合い、実務につなげていくことを目指したコミュニティです。
初回の立ち上げイベントでは、登壇セッションや質疑応答、親睦会、そしてイベント後のDiscordでの交流を通じて、参加者同士がつながる場をつくろうとしました。
この記事では、コミュニティマネージャー未経験だった私が、SaaS Harborの立ち上げを通じて経験したこと、現場での反省、そして今大切にしたいと考えている視点をまとめました。
なお、当日のイベント内容については、レポートとしてまとめています。イベント全体の雰囲気やセッション内容を知りたい方は、ぜひそちらもあわせてご覧ください。

1. 始まりは「想い」を伝えること
バラバラな点を「線」にするストーリーを言語化するまでの準備
立ち上げにあたり、まず取り組んだのは「なぜ今、この場が必要なのか」を自分の言葉で整理することでした。
B2B SaaSとは単なるソフトウェアではなく、業界や業務のベストプラクティスがまとまった「知の体系」であること。それが広がることは、日本全体のDXを加速させ、より豊かな社会を創ることにつながる。
そんな自分の中にある想いを、一本の「線」として伝わるストーリーにしたい。
初回イベントの冒頭で、SaaS Harborが目指すものを伝えるためのスライドを一枚ずつ作りながら、どうすれば参加者の皆さんの心に届くのかを考え抜きました。
これが、コミュニティマネージャーとしての最初の挑戦でした。
2. 「対話」への導線設計
真剣なインプットを、いかにアウトプットへ繋げるか
初回イベントのセッション中、皆さんが登壇者の話に深く聴き入っている時間は、運営として非常に手応えを感じるものでした。
一方で、その高い集中力をどうやって「質疑応答」や「Discordでの交流」という次のステップへ接続させるか、という点には難しさも感じました。
ただ「良い話を聴けた」で終わらせるのではなく、参加者同士の血の通った知見共有へ繋げていく。そのためには、運営側のより具体的な仕掛けが必要だったと気づかされました。
質疑応答を盛り上げるための「事前準備」の重要性
特に反省点として残ったのが、セッション後の質疑応答です。
初めての場ということもあり、参加者の皆さんも少し様子見の状態でした。そこで「何か質問はありますか?」と問いかけるだけでは、なかなか会話は生まれません。
Discordでリアルタイムに質問を募る仕組みをより強調したり、事前に口火を切るための「問い」を設計しておくべきでした。
たとえば、登壇内容に対して「自社で似たような課題を感じている方はいますか?」と投げかけたり、「今日の話を聞いて、明日から試してみたいことはありますか?」といった問いをあらかじめ用意しておく。
そうした小さな設計があるだけでも、参加者が最初の一言を出しやすくなったのではないかと思います。
この経験は、場を動かすにはビジョンだけでなく、具体的な「設計」が必要だという大きな学びになりました。
3. 「ライブ寿司」が解かした緊張と、Discordの静かな現在地
お寿司が繋いだ「会話」
セッションの緊張感を和らげてくれたのは、その後の親睦会でした。
親睦会では、目の前で職人さんにお寿司を握っていただく「ライブ寿司」の演出を用意しました。すると、これがきっかけで参加者同士の会話が少しずつ弾み始めました。
美味しい食事を囲むことで、ようやく皆さんの表情が和らぎ、あちこちで自発的な交流が生まれていく。
その景色を目にしたとき、安堵の気持ちでいっぱいでした。
やはり、コミュニティはコンテンツだけで成り立つものではなく、人と人との距離が少し縮まるきっかけによって動き出すものなのだと感じました。
静かなDiscord
一方で、イベント後のDiscordは、私が想像していたよりも静かな状態が続いています。
本当は、イベントで生まれた熱量がそのままオンラインにも流れ込み、参加者の皆さんから感想や質問、日々の実務で感じたことが少しずつ投稿されていく。そんな状態を思い描いていました。
けれど実際には、投稿しているのはまだ運営側が中心で、リアクションも運営メンバーや身近な方々が主という状態です。
イベントの場で生まれた熱量を、そのままオンラインの日常的な交流へつなげることの難しさを実感しています。
ただ、この静けさを単にネガティブなものとして捉えるのではなく、「参加者が安心して最初の一言を投稿できる状態をどうつくるか」という、今の私の等身大な課題として向き合っていきたいと考えています。
静かなDiscordは、失敗の証ではなく、これから関係性を育てていく余白でもある。
今はそう捉えながら、日常の接点を少しずつ増やしていきたいです。
4. 私たちが目指す「共創の港」
本質的な「価値提供」に熱中できる場を作りたい
今回の立ち上げを経て学んだ反省を、次回の具体的な工夫に繋げていきます。
私たちが目指すのは、誰もが「顧客への価値提供」という本質的な素晴らしさや面白さに、心ゆくまで熱中できる場所です。
B2B SaaSに関わる人たちは、日々、顧客の業務や業界の課題に向き合っています。プロダクトを届けるだけではなく、顧客の成功を考え、より良い業務のあり方を考え、時には自社の枠を超えて知見を共有していく。
その営みには、とても大きな価値があると思っています。
自らの為すことに誇りと情熱を持ち続けられる。そんなポジティブな連鎖を、SaaS Harborから作っていきたいです。
そのために、次は質疑応答の口火をどう切るか、Discordへどう自然に促すか、イベント後にどんな問いを投げかけるかといった、実務的な設計を一つひとつ積み重ねていきたいと考えています。
不完全な場を、皆さんと一緒に育てていきたい
SaaS Harborは、まだ始まったばかりの不完全な場です。
コミュニティマネージャーである私自身も、試行錯誤の連続です。
でも、最初から完璧な場なんて、きっと面白くない。
うまくいかないことも、静かなDiscordも、すべてを等身大で受け止めながら、ポジティブな連鎖が続いていくと信じて挑戦し続けられたらと思います。
この試行錯誤のプロセスそのものが、SaaS Harborの個性になっていくのだと思っています。
だからこそ、この場を私一人で作り上げるのではなく、参加してくださる皆さん、運営として協力してくださる皆さんと試行錯誤を共有しながら、一歩ずつ心地よい港へと一緒に育てていきたいです。
