「わからない」から始まった1年半。8回の展示会出展を経て得られた成長記録
はじめに
こんにちは。株式会社アンチパターンの内定者インターンとして、BtoB SaaSの開発・運用を支援する「SaaSus Platform」のマーケティングを担当している山田です。
昨年2025年4月、AWS Summit Japanへの出展準備に取り組む、3か月間のマーケティングインターンに参加しました。当時は、マーケティングも自社プロダクトもわからないところから、社員メンターに教わりながら、チラシの制作や出展準備を進めていました。
Summit終了後もインターンを継続し、この一年半で関わった出展は8回になりました。2026年のAWS Summit Japanでは、前年の私と同じように準備に取り組む後輩をサポートする立場も経験しました。
出展を重ねる中で、以前よりできることは増えました。一方で、経験が増えたからこそ気づいた難しさもあります。今回は、展示会に関わる中で、自分が何を考え、仕事への向き合い方がどう変わってきたのかを振り返ってみたいと思います。
わからないまま、学ぶこととつくることを同時に進めた
初めてのAWS Summitに向けた準備は、インプットとアウトプットを同時に進める毎日でした。
SaaSus Platformがどんなサービスで、誰のどんな課題を解決するのか。そもそもBtoBのマーケティングでは何を目指すのか。理解しなければならないことはたくさんありましたが、展示会の日程は決まっています。十分に理解できるまで待ってから、チラシやパンフレットなどの準備を始めるわけにはいきませんでした。
社内メンターに教えてもらいながら学び、その時点で理解したことを制作物や準備に反映していく。わからないことが出てきたら、また聞いて考える。当時は、一つひとつに必死で向き合っていました。
準備を進める中では、ブースに来てくださった方との短い時間で、何を達成すべきなのかも考えました。
当日の目標はリードを獲得することです。マーケティングやプロダクトを学びその先の流れを知ると、「サービスを深く理解してもらいたい」「価値に共感してほしい」「商談や契約につながってほしい」と、つい学んだことをすべて詰め込みたくなってしまいました。ブースでのほんの短い時間なのに、商談や契約に近いような、現実的にはその場では達成できないことまで一度に目指そうとしていたのです。
しかし、多くの方が通り過ぎる会場で、一人ひとりと話せる時間は限られています。
すべてを伝えようとするのではなく、その短い時間の中で何を優先し、どこまでできれば合格とするのか。そのためにチラシには何を用意し、いつまでに誰に協力してもらう必要があるのか。メンターと相談しながら、目標をすり合わせしていきました。
こう書くと整理して取り組めていたようですが、当時は目の前の作業を進めるだけで精いっぱいでした。
この3か月間は、わからないことを抱えたままでも、周囲に支えてもらいながら学び、形にしていく、充実した経験でした。
来場者との会話で、自分の理解を確かめる
AWS Summit終了後もインターンを継続し、月に一度ほどの頻度でコミュニティイベントや展示会の出展準備を担当するようになりました。これらもリード獲得を目的とした出展でしたが、来場者との接し方はSummitとはかなり異なっていました。
大規模で行き交う人が多いSummitでは、短時間で要点を伝えることが中心でした。一方、コミュニティイベントには「学び」を目的に参加されている方が多く、比較的じっくりとお話しすることができました。普段どんな業務や開発をしているのか、どんな課題を感じているのかを伺いながら、SaaSus Platformについて説明する機会も増えていきました。
ただ、自分がサービスを理解していることと、それを相手にわかりやすく伝えることは別物でした。どこから話し始めればよいのか、相手の課題とどう結びつければよいのか。最初は、一緒にブースに立っているSA(ソリューションアーキテクト)の説明に耳を傾け、話の順番や言い回しを真似するところから始めました。
教わった説明を自分でも試してみて、相手の反応を見る。うまく伝わらなければ、次は表現を変えてみる。出展のたびに小さな試行錯誤を繰り返しました。
来場者からの質問も、大きな学びのきっかけになりました。事前に準備した説明はできても、ふとした疑問や専門的な質問を投げかけられると、答えに詰まってしまうことがあります。それによって、「自分はどこまで理解できていて、どこが曖昧なままだったのか」が浮き彫りになりました。わからなかったことを持ち帰って確認し、次の説明に生かす。その繰り返しによって、プロダクトへの理解も着実に深まっていきました。
回数を重ねるうちに、備品の準備や当日の設営といった作業にも慣れ、手際よく進められるようになっていきました。自分の説明や目の前の作業だけで手一杯だった状態から、少しずつ周囲の様子に目を向ける余裕が生まれていきました。
一緒に参加するメンバーが、動きやすい準備を考える
出展には、社内のSAやエンジニアにも協力してもらっていました。来場者の具体的な課題を聞き、技術的な質問に答えるうえで、専門的な知識を持つメンバーの存在は欠かせません。また、何度か接点のある来場者とより踏み込んだ話をするため、翌年のAWS Summitに向けた練習にするため、そして顧客と直接話す経験を持ち帰ってもらうため、という狙いもありました。
ただ、日頃から展示会に向き合っている私と、当日協力してくれるメンバーとでは、持っている情報や前提が違います。出展を重ねる中で、ただ参加してもらうだけでなく、事前に何を共有しておくと動きやすいのかを考えるようになりました。
例えば、ブースでは質問が来たときに対応すればよいのか、それとも、こちらからSaaSus Platformの説明を始めたほうがよいのか。ブースに立ってもらうといっても、具体的に何をお願いしたいのかが曖昧では、動き方に迷ってしまいます。
その前提として、なぜこのイベントに出展するのか、なぜ参加してもらうのかという目的を、事前の全体定例で共有することも大切にしました。目的と、その中で期待している役割や立ち回りがわかることで、当日の動きも考えやすくなると思ったからです。
また、気にかけることは、目的や役割の共有だけではありませんでした。
慣れない立ち仕事でも集中できるよう、メンバーの意見を聞いて短めのシフトとこまめな休憩を設定し、現場で予定に迷わないよう印刷したシフト表も用意しました。渡したい資料をすぐに取り出せるよう動線を整えるなど、自分が現場を経験してきたからこそ、こうした細かな部分にも目が向くようになりました。
最初は、自分が準備を進めることや、来場者に説明することで精いっぱいでした。それが少しずつ、自分がメインで関わる施策に周囲を巻き込むにあたって、一緒に参加する人の立場からも出展を考えるようになっていきました。自分が慣れていることでも、初めて参加する人にはわからないかもしれない。そう考えて準備を整えることも、出展を支える仕事の一つなのだと感じました。
出展の前後にも目を向け、全体を動かす
AWS Summit Japan 2026では、ブース周りの準備だけでなく、印刷物に掲載する新しい導入事例の準備にも取り組みました。
複数のお客様とのやりとりを並行して進める中では、各社の進捗を把握し、次に何をする必要があるかを管理することに苦戦しました。社内の制作作業だけでは完結せず、お客様のご協力があって初めて進められる仕事です。相手と進め方やスケジュールの認識を合わせること、状況を見ながら必要な連絡をすることの大切さを、自分の課題とともに実感しました。
印刷の期限がある中では、予定通りに進まないこともあります。そのときに、「今回何を達成したいのか」に立ち返り、何を優先し、どこを調整するのかを、周囲と相談しながら判断するようになりました。
当日の役割も、前年とは変わりました。主にブースの裏側で、その日に接点を持った方へのフォロー準備を並行して進めながら、現場で起きたトラブルにも対応していました。その場の状況から必要な対応を考え、周囲に共有して動く場面もありました。
前年は、まず当日を迎えるための準備で精いっぱいでした。そこから、準備に協力してくださるお客様や社内メンバー、来場者との次の接点まで、出展の前後にも目を向けるようになりました。考える範囲が広がるほど自分だけでは判断できないことも増えましたが、何を相談すべきかを考えることも、自分の役割として捉えられるようになっていきました。
経験があっても、考える道筋を示すのは難しかった
こうして出展全体を見渡して動ける手応えを感じていた一方で、2026年のSummitではもう一つの大きな挑戦がありました。一学年下のインターン生が、前年の私と同じように出展準備に取り組むことになり、そのサポートを担当することになったのです。
一年間、継続して展示会に向き合ってきた自負もありました。自分が教えてもらってきたように、今度は後輩を支えられるように頑張ろうと意気込んでいました。
後輩たちが最初に取りかかったのは、ブースに掲載するパネルのデザインでした。前年に私も悩みながらつくり、その後の展示会でも使ってきたものです。使いやすさを感じていましたし、自分の中では、いろいろと考えた末にたどり着いた一つの完成形になっていました。
一方、後輩たちは、当時の私と同じようにサービスについて学びながら制作を進めていました。パネルを考えるといっても、どこから手をつければよいのかわからない様子でした。
去年、何を考えてこの形にしたのかは説明できます。でも、これから取り組む人に「どこから考え始めればよいのか」を示そうとすると、うまく言葉にできませんでした。私自身も、決まった手順に沿って順序よくつくったわけではなかったからです。
結局、一緒に悩んだり、出てきた案に「ここはいいね」と伝えたりすることはできても、考える方向を導く役割は、他の社員メンバーに担ってもらいました。経験してきたからこそ力になりたかったのに、思うように立ち回れないもどかしさがありました。
社員メンバーからは、去年も一昨年も時間をかけて検討し、そのときによいと判断されたものが今のパネルとして使われている、という話もありました。同じパネルを前にしていても、そこに至る検討を知っている私と、初めて見る後輩とでは、持っている前提が違っていました。
この経験を振り返ると、過去の判断の理由を説明することと、目の前で悩んでいる人が考え始められるように道筋を示すことには、まったく違う難しさがあったのだと思います。自分が経験して感覚で掴んできたことを、相手が使える手がかりとして言葉にする。そのためには、もう一度、自分の経験を整理し直す必要があると感じました。
おわりに
2025年4月、わからないことばかりの中で始めた出展準備は、一年半の間に、一緒に参加するメンバーや後輩をどう支えるかを考える仕事にもなっていました。
経験を重ねたことで、以前より動けるようになった実感はあります。その一方で、後輩と一緒にパネルを考えたときのように、経験があるからこそ「もっと力になれるはずだった」と、もどかしく感じることもありました。
今回振り返ってみて、自分の中で納得していることも、誰かと一緒に取り組もうとすると、改めて考え直す必要があるのだと気づきました。来場者からの質問や、一緒に参加するメンバーの意見、後輩の迷いに触れることで、自分だけでは気づかなかった課題が見えてきました。
次の出展では、これまでの経験を生かしながら、相手が何に迷い、どんな情報を必要としているのかを、もう少し丁寧に確かめたいと思っています。私自身が周囲に支えてもらってきたように、一緒に考え、進める人になれるよう、これからも現場で学び続けていきたいです。