
合宿を通じた取り組み
1. はじめに:期初に「全員」で集まる理由
私たちの会社では、半期に一度、新しい期のスタートに合わせて社員全員が参加する、1泊2日の全社合宿、名付けて「AP合宿」なるものを開催しています。
熱海や湯河原などの温泉地に足を運び、日常のオフィスや自宅から離れた環境で、心身ともにリフレッシュしながら議論を深める時間を大切にしています。
現在、私たちはフルリモートワークが可能な環境で業務を行っています。画面越しでも円滑に仕事が進む一方で、全員が同じ場所に集まり、直接顔を合わせる機会は決して多くありません。だからこそ、この合宿は私たちにとって、単なる会議の場としてだけではなく、対面でのコミュニケーションを通じて組織の連携を再確認する貴重な機会でもあるのです。
(なお、「旅」としてのワクワク感を楽しんでもらえるよう、人事として「合宿のしおり」を作成しており、部屋割りの発表なども含めた恒例行事として定着しています。)
本記事では、1日目、2日目とそれぞれの行程を追いながら、今回のAP合宿で具体的にどのような議論が行われ、それが組織にどのような変化をもたらしたのか、人事の視点からそのプロセスを振り返ります。
2. 【1日目】前期の振り返りと、今期ロードマップの策定
合宿の初日は、全員が今の率直な気持ちを話す「チェックイン」からスタートします。その後、代表から経営概況の共有を受け、会社全体の現在地を全員で目線合わせすることから議論が始まります。
午後のメインセッションは、各事業部ごとのワークです。ここでは単なる活動報告に留まらず、前期に掲げた目標に対してどのような成果を出せたのか、その達成度やプロセスをフラットに評価し合う時間を設けています。
自分たちの動きを客観的に振り返り、それが会社全体にどのようなインパクトを与えたのかを棚卸しする。期初にこの時間を設けることで、今期の目標やロードマップも、より精度の高い、自分たちの手で描き出した納得感のあるものへと繋がっていきます。
一人ひとりがチーム、そして全社における役割と、新期に向けた責任を再確認する、非常に密度の濃い時間となりました。
3. 【2日目】「未来」を繋ぎ、組織の壁を越える
2日目は、自身の専門領域の垣根を越えて、会社全体の連携をさらに深めるための対話を行います。ここで活用しているのが「ワールドカフェ」という形式です。
ワールドカフェとは?メンバーを入れ替えながら、リラックスした雰囲気で少人数の対話を重ねる手法です。多くの人と意見を交わすことで、組織全体に知識やアイデアを循環させることができます。
私たちの組織は、スタートアップでありながら複数事業を並行して展開しているのが大きな特徴です。日々の業務では各メンバーがメインで担当する事業に注力していますが、こうした合宿の場を活かすことで、小規模な組織ならではの機動力を保ちつつ、事業を横断したシナジーを最大化させていきたいと考えています。
この日のメインコンテンツは、前日の振り返りを踏まえた「事業ビジョン」「バリュープロポジション」「ロードマップ」の策定です。まずは各チームでこれらを徹底的に考え抜き、自分たちの進むべき方向を言語化します。
議論の中では、弊社の一事業であるSaaSus Platformに対して個人がどのような想いで向き合っているかを語り合う場面もありました。「日本の国力を上げたい」「開発者への敬意を感じるサービスにしたい」といった、普段の業務連絡ではなかなか出てこない個々の熱い視点に触れられたのは、非常に印象的なシーンでした。
その上でワールドカフェ形式を取り入れ、あえて担当の異なるメンバーを交えて意見交換を行いました。普段、別の事業に向き合っているメンバーがシャッフルされ、客観的な視点でフィードバックを送り合う。このプロセスを通じて、自分たちだけでは気づけなかった他事業との連携の種や、共通の課題、そして新たな顧客価値のエッセンスが取り込まれていきます。
こうした他チームからのフィードバックを反映させ、内容を最終化していきます。事業部を超えて会社全体で価値を最大化させるために、この合宿を通じて拍車をかけていくのです。
合宿の締めくくりとして行われた各チームの最終発表では、各事業のロードマップが全社的な整合性の取れたものへと磨かれ、組織全体の「共通言語」へと進化していく実感がありました。
4. 変化:合宿がもたらしたもの
合宿を経て感じているのは、組織のあちこちで「連携の土台」が着実に整い始めていることです。
こうした変化は、合宿が終わってすぐに劇的な形になるものばかりではありません。しかし、リアルで膝を突き合わせて議論した経験は、リモート環境に戻った後もじわじわと効いてくる大きな財産になっているように感じます。
特に感じていることを下記にて挙げてみました。
- 他チームへの解像度の向上: 普段担当していない事業の背景や意図を肌で感じたことで、事業部を跨いだコミュニケーションがよりスムーズになりました。
- チーム内の足並みの強化: 日頃から活動を共にするメンバー間でも、改めて対面でビジョンを共有したことで、新期に向けた結束力がさらに高まりました。
- 会社としての一体感: 複数の事業が並行して動く中で、全員が「一つの組織」として同じ方向を向いているという感覚を共有できました。
日常のやり取りにおいても、情報の汲み取りがスムーズになったり、各所でオーナーシップが育まれたりと、小さな変化が積み重なっているように思います。今回の合宿で芽吹いた「共通言語」を大切にしながら、これから生まれてくる事業間のシナジーを丁寧に育てていければと思います。
5. おわりに
人事として何より価値を感じるのは、こうした場を通じて「個の目標」が「組織の目標」へと昇華されていくプロセスです。
制度や仕組みを整えるだけでなく、こうした「顔の見える関係性」の中で本質的な対話を積み重ねることが、強い組織を作る大事な基盤になると信じています。合宿で描いたロードマップを胸に、今期もチーム一丸となって取り組んでまいります。