SaaSの時代はもう終わってしまったのか?

こんにちは。信田(しのだ)です。

現在、「SaaSus Platform」のマーケティングやセールスや導入支援などを頑張っています。

SaaSus PlatformのGTMをやりながら、SaaSについて色々考えてみました。

  1. SaaSが注目される時代は終わったのか?
  2. SaaSを拡げていくために必要なこと
  3. アメリカではどのような状況なのか?

SaaSが注目される時代は終わったのか?

最近では、世の中は「Generative AI」一色になってきたなぁと思います。

どんなイベントに参加しても、議題が別の議題だったとしても、必ずと言ってもいいくらい話題にあがります。

インターネットが出てきてすぐの時に、今の世界観が想像できなかったように、すごいものが出てきたなと思いつつも、まだ、世界がどのように変化するのかをクリアにイメージはできていない状況です。

話をSaaSに戻しますが、「SaaS」もかつては、同じように、さまざまなところで注目され、多くのスタートアップが資金調達をして、マーケットの期待値もとても高かったと思います。

しかしながら、コロナ以降、投資家界隈でも、考え方に変化があったように思います。

好調期には、PSRがバリュエーション算出の指標となるなど、どれだけ成長できる可能性が高いのか?が注目されていました。

しかし、最近では、PERなど、どれだけ利益を出せるプロダクトなのかが投資判断において重要になってきているように感じます。

当然、当初から、将来的に利益を出すことも重要視されていたと思いますが、アーリーフェーズは成長への投資が優先されていたように思います。

では、なぜそのような変化が起きているのかを考えてみました。

  • コロナで株式市場全体的に先が読めない状況になってきた
  • SaaS企業が投資に対して、爆発的な成長をなかなかできていない
  • 日本特有のカスタマイズ文化

マーケットは常に変化するもので、それに合わせた戦略がSaaSスタートアップ企業には必要かなと思います。

では、「SaaS」はもう過去のものになってしまったのでしょうか?答えはNoだと思います。

実際に数値データを見てみても、日本のSaaS市場はまだまだ高い成長率を維持しています。

<参考>「Japan SaaS Insights 2023」を公開 -混沌とする世界でSaaS市場の拡大は続く-

https://onecapital.jp/perspectives/japan-saas-insights-2023

また、先日、アメリカのラスベガスまで、AWS re:Invent 2023に参加してきましたが、そこでも、SaaSのセッションは年々増えているように思います。

SaaSを拡げていくために必要なこと

では、これから、僕らのようなSaaS企業はどのように成長をしていけばいいのか?どのように投資家に注目して貰えば良いのか?を考えてみました。

アメリカの、AWS re:Inventに参加して感じたこととして、彼らはSaaSはスケールするビジネスモデルであるというのが大前提になっているのではないかと感じました。

スケールを前提として、SaaSのアーキテクチャについてとても深く議論されているようです。

日本でも、AWSの出現によって、エンタープライズシステムのクラウド化はどんどん進んでいます。

しかし、その次の段階として、エンタープライズシステムのSaaS化がどんどん進むべきなのかなと僕は考えています。

その中で、やはり、「ソフトウェアのスケールさせることが得意という特性」を活かすことが大事なのかなぁと思いました。

日本では、長らく、企業の業務プロセスのシステム化を進めてきました。目的は、業務の効率化です。

しかし、SaaS提供企業は、もちろんそのプロダクトを活用した業務の効率化ができることは大前提ですが、ソフトウェアのスケールメリットを活かして、たくさんの顧客に提供し、より多くの人がより手軽に使えるソフトウェアを提供していくべきなのかなと考えました。

つまり、SaaSは、これまでソフトウェアを各自で利用していた企業がサービス提供形式で利用できるだけではなく、AWSがコンピューティングリソースの民主化(より多くの人が恩恵を受けられる形)をしたように、SaaSもより業務ソフトウェアの民主化を起こす必要があるのかなと思います。

そのためには、SaaSもAWSを見習うのが一番良いのではないかと思います。

AWSでは、

・請求の自動化

・契約の自動化

・APIの提供による顧客側でクラウド内操作可能な領域の提供

・あらゆる機能のサービス化(個別カスタマイズしない)

のような形で、顧客が拡大していくことを前提とした仕組みづくりがされています。

彼らは、顧客が拡大し続けているにも関わらず、その運用に忙殺されずに、AWSのサービス価値を向上させ続けています。

アメリカではどのような状況なのか?

日本では、SaaSのビジネスモデルについて語られるシーンは多いですが、テクノロジー視点で語られることはまだまだ少ないように思います。

AWS re:Invent 2023に参加しましたが、SaaSにおけるテクノロジー視点でのさまざまなセッションが準備されていました。

面白いのは、SaaSのアーキテクチャのデザインパターンについて、よく語られている印象でした。

なぜデザインパターン化されるのかを考えてみると、特に、BtoBのSaaSにおいては、

・一つの契約の中でたくさんのユーザーに使われること

・たくさんの企業の使われる前提であること

・認証、請求、オンボーディングなどなど共通で課題となる部分が多いこと

・スケールしていく前提で考えられていること

etc

みたいな部分があるのかなと思います。

例えば、AWSは、どのSaaSにも必要なSaaSの周辺機能について、「SaaS Control Plane」という概念で常に語られています。

<抜粋> AWS re: Invent 2022のセッション -SaaS architecture patterns: From concept to implementation-

https://www.youtube.com/watch?v=xlAXldBt7I0

このように、どのSaaSも共通して向き合うべき課題が豊富なことがわかります。

また、提供されているセッションタイプの一つに、Chalk talk Sessionというものがありました。

最大、50-60名くらいの小規模に提供されるものですが、そこでは、オーガナイザーが議論のテーマを提供し、リスナーが積極的に、質問や意見を提示して、会場全体で議論するようなタイプのものでした。アメリカでは、多くのエンジニアが、このSaaSの共通のテーマに向き合い議論が活発に起きる印象でした。感覚値ですが、アメリカは日本よりも、何年も先にいってるような気分になりました。

最後に、改めてですが、

日本でもBtoBのSaaSをもっともっと盛り上げていく必要があるかなと思っています。むしろここからがスタートなのかもしれません。エンタープライズITに占めるSaaSの割合がどんどん増えていくことが期待されます。

SaaSの活用が促進されることにより、日本のエンタープライズITの世界が効率化され、新しい価値の創造の部分にエンジニアはよりフォーカスしていけると良いなと思います。

我々も、SaaS提供企業として、日本のエンタープライズITの発展に寄与していけたらなと思います。