認定スクラムマスター研修を受講して

こんにちは。アンチパターンの安澤です。
アンチパターンではSaaSus Platform の開発をアジャイルで進めていますが、最近「本当にアジャイルに開発できているのか?」という漠然としたモヤモヤを感じていました。

そんな中、株式会社アトラクタが実施する認定スクラムマスター研修を受講し、Certified ScrumMaster(CSM)資格に無事合格しました。今回はその研修を通じて得た学びや気づきをまとめてみたいと思います。

認定スクラムマスター(CSM)とは

Certified ScrumMaster(CSM)は、スクラムの基本を体系的に学べる入門資格で、Scrum Allianceが認定しています。スクラムマスターとして必要な知識とマインドセットを習得できます。

Scrum Allianceが提供するスクラムマスター向けの資格には、CSMのほかに上位資格として次の2つが用意されています:

  • Advanced Certified ScrumMaster(A-CSM)
  • Certified Scrum Professional - ScrumMaster(CSP-SM)

上位資格の受験には、CSM取得後にそれぞれ12〜24ヶ月の実務経験が必要です。

Scrum Master Certifications | CSM, A-CSM, & CSP-SM
With our Scrum Master Track, you can become a skilled scrum master with a clear path to advancing your career through our CSM, A-CSM, & CSP-SM courses.

研修について

今回受講したCSM研修は、全3日間・各日13:00〜18:30のオンライン形式で行われました。参加者は約25名で、6人前後のチームに分かれてのグループワークも多く、講義と実践がバランスよく構成されていました。

1日目:アジャイルとスクラムの基本理解

初日は、アジャイル開発の背景やスクラムのフレームワークについての座学が中心。グループワークもあり、参加者同士のアイスブレイクにもなりました。

2日目:スクラムの実践ワーク

2日目は、実際にチームでスプリントを回す体験型ワーク。限られた時間の中で、計画からレビューまでを一通り体験することで、スクラムの流れを肌で感じることができました。

3日目:スクラムマスターの役割にフォーカス

最終日はスクラムマスターに焦点を当てた講義。現場での立ち回り方や心構え、支援のスタンスなど、実務に役立つ知見が多く得られました。

学んだこと

今回の研修ではたくさんの気づきや学びがありましたが、私が特に大切だと感じたことを3つ選びました。

アジャイルという単語

アジャイルソフトウェア開発宣言には、アジャイルのマインドセットとして4つの価値と12の原則が示されています。アジャイル開発とは、これらに基づいてチームやプロセスを継続的に改善しながら価値を提供し続けることです。

興味深かったのは、「アジャイル」は名詞ではなく形容詞であるという考え方です。つまり、アジャイルかどうかを0か1のような「やっている/いない」で判断するのではなく、どれくらいアジャイルであるか、どの程度マインドセットに沿えているかが重要であり、そこによりアジャイルに近づくための改善の余地があります。

自分のチームがアジャイルであるかを一括りで判断するのではなく、「何が価値に沿っていて、何が改善の余地なのか」を丁寧に見つめ直す視点が大切だと気づきました。


スプリントレビューの大切さ

研修中、チームに分かれて与えられた課題に対してスプリントを回す実践を行いました。短い時間の中で「インクリメントを作成し、スプリントレビューで発表する」という一連の流れを体験しました。

正直、短時間で作ったインクリメントは完成度が高いとは言えませんでしたが、スプリントレビューで得たフィードバックは非常に有益で、次に改善すべき点が明確になりました

特に印象的だったのは、「完成度の高さ」よりも「レビューの場でどれだけ価値ある対話が生まれるか」の方が重要だということです。スクラムにおいてスプリントレビューは、単なる成果発表ではなく、チームとステークホルダーがプロダクトの方向性をすり合わせるための重要なイベントなのだと実感しました。


観察すること

スクラムマスターは、チームの中で教えたり、促したり、調整したりといった様々な役割を担います。研修の中で強調されていたのは、スクラムマスターがすぐに課題を解決しようとせず、まずはチームを「観察」することの大切さです。

たとえば、チームが課題を抱えていそうなときでも、すぐに口を出すのではなく、「何が起きているのか」「メンバー同士の関係性はどうか」「チームとして気づけるタイミングはあるか」を見極め、必要なときに最小限の介入をするというスタンスが求められます。

このような「一歩引いて支援する姿勢」は、マネージャーともメンターとも違う、スクラムマスター独自の難しさとやりがいだと感じました。

資格受験について

研修終了後、Scrum Allianceからメールが届き、専用ダッシュボードから試験の受験ができました。

  • 受験は50問の選択式
  • 合格ラインは74%以上(37問以上)
  • 制限時間は60分
  • 研修修了から90日以内であれば2回まで無料
  • 3回目以降は1回25USDの受験料が必要

私は2問間違えてしまいましたが、無事に合格することができました。
アジャイルマニフェストとスクラムガイドを事前に読んでおけば、試験対策としては十分でした。

まとめ

3日間の研修を通じて、アジャイルやスクラムの考え方、スクラムマスターの役割などについて体系的に学ぶことができました。今後はこの学びを実務に生かし、チームがよりアジャイルに成長できるよう支援していきたいと思います。

ちなみに、グループワークで発表を担当した際に、つい「スクラム開発」と言ってしまいました。講師から「スクラムは名詞なので開発とは結びつけない方が良い」との指摘を受け、ちょっと恥ずかしい思いをしましたが、これも良い学びのひとつです。