NotebookLMを使って関連法令を整理してみた
こんばんは。atomです。
普段、アンチパターンの法務として活動しているのですが、法律はいっぱいあって会社にどの法律が関係しているか?を管理するのはとても煩雑なので、話題のNotebookLMを使って、関連法令の整理をしてみました。(LM六法と命名しました)
NotebookLMとは?
NotebookLMは、アップロードした資料に基づいて対話ができる、AI搭載のノートブックです。PDFやテキストファイル、Googleドキュメントなどを「ソース」として読み込ませることで、その内容に関する質問に答えたり、要約を作成したり、アイデア出しを手伝ってくれたりします。
今回は、このNotebookLMの機能を活用し、法務業務の効率化を目指します。
やってみたこと:e-Gov法令検索から「社内法令チャットボット」を作る
具体的な手順は非常にシンプルです。
- 関連法令のPDFをダウンロードする
まずは、e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/)から、自社の事業に深く関連する法令の条文をPDF形式でダウンロードします。
- NotebookLMにソースとしてアップロードする
次に、NotebookLMを開き、新しいノートブックを作成します。そこに、先ほどダウンロードした法令のPDFファイルをすべてアップロードします。これだけで準備は完了です。
これだけで、アップロードした法令の範囲内で、質問に答えてくれるチャットボットが完成しました。
LM六法の「良いところ」
実際に使ってみて、特に便利だと感じた点は以下の2つです。
1. 事案に対して関連しそうな法令を瞬時にピックアップ&参照できる
例えば、新しい取引先との契約形態について検討している際に、「この業務委託契約は、偽装請負とみなされるリスクはありますか?」と質問を投げかけたとします。
するとNotebookLMは、アップロードした労働基準法や職業安定法などの条文の中から、偽装請負の判断基準に関連する箇所を瞬時に探し出し、参照元(どの法令の第何条か)を明記した上で回答を生成してくれます。
法務的な回答を用意する際に、該当する法令を提示するケースも割とありますが、従来であれば、それぞれの法令を一つひとつ確認し、該当箇所を探す必要がありましたが、このプロセスをAIが代行してくれるため、調査の初動にかかる時間を劇的に短縮できます。
2. 従業員への説明用に、平易な文章への翻訳や例示のアイデアを引き出せる
法務部門の重要な役割の一つに、従業員への教育や啓発があります。しかし、法令の条文は難解な表現が多く、そのまま伝えてもなかなか理解してもらえません。
そこでNotebookLMに、わかりやすく解説するように指示を出します。例えば「民法における『悪意』と『善意』の用語の意味を小学生でもわかるように教えて」 といった指示を出すと、非常に分かりやすい言葉で説明文を生成してくれたり、具体的なシナリオを提示してくれたりします(画像は思ったよりも小学生扱いされてます)。

これにより、社内向けの研修資料やマニュアルを作成する際の大きな助けとなりました。
微妙なところ
もちろん、良いことばかりではありません。現状の課題も見えてきました。
1. 継続的なソースの更新が必要で、古い情報を参照するリスク
最大の懸念点は、情報の鮮度です。法令は頻繁に改正されます。一度PDFをアップロードしても、その後の法改正には対応できません。古い情報のまま参照し続けると、誤った判断を下すリスクがあります。
これを防ぐためには、法改正の情報をキャッチアップし、定期的に最新の条文PDFをダウンロードしてソースを更新するという、地道なメンテナンスが不可欠です。
2. PDFのダウンロードが面倒
e-Gov法令検索から一つひとつPDFをダウンロードする作業は、正直なところ少し手間がかかります。NotebookLMがURLを指定するだけでそのページの内容をソースとして読み込んでくれれば理想的なのですが、e-Gov法令検索のサイト構造が複雑なためか、現状ではうまく機能しませんでした。
今後に期待?
- 従業員にも公開し、簡易的なリーガルチェックツールとして活用
ソースの鮮度管理を徹底した上で、このNotebookLMを従業員に公開すれば、「法務部に確認する前の一次チェック」として活用できるかもしれません。これにより、現場のコンプライアンス意識向上と、法務部門の業務負荷軽減の両方が期待できます。
ただ、現状ではあくまでも既存の法令のみを対象としているので、新規事業には向かなそうではあるのと、ソースが条文なので質問の仕方によってはいまいちな感じもあり、現時点では「わかってる人向け」な雰囲気でした。
- 法令集と社内規定を組み合わせて、より社内の問い合わせに特化させる
従業員向けのボットとしてより効果を発揮させるには、法令と社内規定を一つのノートにまとめて運用する方法が良さそうでした。例えば、労働基準法や労働契約法といった法令集に加えて、自社の「就業規則」もソースとして読み込ませれば、「当社の規定では、このケースの残業は認められますか?」といった、より具体的で実践的な質問に答えられるようになります。
その他活用アイデア
- 法令の趣旨や概要を「音声出力」でインプット
NotebookLMには音声出力機能もあります。条文の「趣旨」は、その法令の根幹を理解する上で非常に重要です。概要や制定の背景などを要約させ、移動中や作業中に音声で「聴く」ことで、効率的なインプットが可能です。
- 「マインドマップ」で索引的に検索
「個人情報保護法に関連する概念をマインドマップで整理して」と指示すれば、全体像を視覚的に把握しやすくなります。複雑な法令の構造を理解する上で、強力な助けとなるでしょう。
ソースの数が多いとうまくいかないことが多いので、うまく分割して出すといい感じになります。僕は目次を作成してから目次でマインドマップを作ってました。気になるところをクリックするとそれに関する情報をくれるので、入力が少なくて楽です。
まとめ
NotebookLMを使った「LM六法」の構築は、情報の鮮度管理という課題はあるものの、法務関連業務を大幅に効率化し、その質を高める可能性を秘めていると感じました。特に、散在する情報の中から関連箇所を瞬時に探し出す能力や、難解な内容を分かりやすく翻訳する能力は、日々の業務において大きな武器となります。
現時点では法務担当者が個人的な業務効率化目的で使用するに止まりそうですが、いちいち法令を検索したりする手間をなくして、手元に社内の関連法令を持っておけるだけでもとても便利に感じました!